はじめに
本記事ではバイオハザードシリーズ最新作の「バイオハザード レクイエム」ことバイオ9のレビューをさせていただく。
結論から言えば、素晴らしい初回体験とバイオシリーズ史上一番つまらない周回体験が合わさったタイトルというのが本音だ。
以下に自分が感じたバイオレクイエムの評価や感想、改善に期待するポイントなどを詳細に書いていく。
※ネタバレを含みます
良かったところ
魅力的なストーリーと異なるゲーム体験とミックス
レクイエムのストーリーは非常に良く出来ていて、常に先が気になる展開でワクワクした。
そこに、グレースでのリソース管理を重視の緊張感のあるプレイ、
レオンでの爽快感のあるアクション重視のプレイ、というゲーム体験のミックス構造。
このストーリーの面白さとゲームプレイの魅力が合わさり、非常に没入感のある体験が出来た。
中盤以降、精神的に成長し頼もしくなっていくグレース、一方で終盤に向かうにつれてボロボロになっていくレオンの対比も良い。
また、シリーズ経験者にとっては「T-ウイルス」の新たに判明した設定や、
「スペンサー」の真の思惑など、とても気になる内容も盛り沢山。
歴代キャラクターの登場
シリーズファンにとっては本作の主人公の1人、「レオン」の再登場はとても嬉しかった。
REシリーズではRE2、RE4と出演しているが何れも時系列としては結構過去の出来事でリメイク作品だ。
最後にメインストーリーに登場したのは「バイオハザード6」で、それも結構前のタイトルになる。
CG映画ではバイオ6以降のレオンも登場したが、ゲームで近年のレオンが描かれるのはかなり久しぶりなのだ。
他にも、バイオ6以降の「シェリー」が登場するのもかなり久しぶり。
また、作中では「???」とされているが声や仕草を考えれば「ハンク」と見てほぼ間違いないと思われるキャラクターも再登場した。
彼がメインストーリーに実際に登場するのは実は初の出来事だ。
これまではおまけゲームでの出演や、ゲーム内のファイルに登場するくらいだった。
他にもグレースの母親として「アリッサ」、アンブレラの生みの親の「スペンサー」、「ウェスカー」とよく似ている存在の「ゼノ」など、
シリーズファンとしては高揚を抑えられない人物の登場がたくさんある。
また、エンディングでは名前のみだが「クリス」についても言及があり、ハウンドウルフ隊も登場する。
個人的にはこういった歴代キャラクターの登場は無条件でワクワクしてしまうため、非常に嬉しい要素だ。
RPDの再訪
ストーリー中盤以降、レオンはラクーンシティに再び訪れることになる。
中でもやはり、警察署に入ってホールにたどり着いたところで流れるホールの音楽。
あれめっちゃエモい。
オリジナル版とは違うけれど、ちゃんとその雰囲気を感じられるアレンジになっていてすごく懐かしい気持ちになった。
実際にいるのはRE2で再構築された警察署だが、不思議とオリジナルの空気を感じられる良い演出だった。
警察官のゾンビに「もう休んでくれ」と言うレオンや、マービンに「帰ってきました」と報告するレオンなど、しんみりするシーンも良かった。
他にも、バリーが恐らくクリスとジルにプレゼントしようとしていたと思われる動物園のチケットや、
レベッカの「あの写真」の再登場など、ファンサービスに事欠かないロケーションだった。
気になったところ
周回プレイが過去一つまらない
これはシリーズファンとして、いや、個人的には非常に残念に感じた部分。
本作でも明確に周回して楽しんでねという導線はこれまでのタイトルと同様に存在する。
ポイントによる隠し要素の解禁や、トロフィーの項目などからそういう設計にしていることは明白だ。
しかし、そうした設計にしているのに肝心の周回プレイがバイオ史上一番つまらない。
以下のような要素が周回時のモチベーションを下げている。
・グレース編におけるザ・ガールから逃げるだけのパート
レクイエムに限った話ではないが、こういったパートを何度も楽しむのは難しい。
過去作にあったチャプターセレクトや、あるいは2周目以降はスキップ出来ていいと思う。
あるいはせめて強力な隠し武器でザ・ガールを撃退出来れば少しは違うかもしれない。
バイオRE3であった、ポイントで交換出来るキーアイテムの事前入手、という方法もありか。
・クロエ編
バイオRE2のシェリー編と同じような内容。
しかもまさかのロケーションまで同じ。
RE2におけるシェリー編、エイダ篇、RE4におけるアシュリー編。
こういったシナリオは解法も同じで自由度も低いため、初見だけで十分。
スキップさせてほしい。
・操作する意味が薄いシーン
グレースの冒頭の歩くだけのシーン。
終盤、グレースでレオンのいる場所へ移動するだけのシーン。
エミリーを撃つシーンなど。
これらのシーンも初回以外ではプレイする楽しさを感じることは難しい。
印象的なエミリーを撃つシーンですら、周回においてはプレイアブルである必要を感じない。
ほぼ同じ提案だが、スキップ出来れば何も問題がないのだが。
・レオン編におけるポイント引継ぎがない
レオン編における武器改造などで使うポイントがまさかの引継ぎなし。
せっかく隠し武器を解禁してもストーリー内でさらにポイントで交換しなければ使えない。
前の周回で武器を最大まで改造したところで、リセットされてしまうどころかポイントもない。
難易度が違えば引き継げない、などならまだ分かるがなぜこんな仕様にしてしまったのか正直理解出来ない。
アクションがやや物足りない
グレース編は置いといて、レオン編は確かに爽快感はあるのだが、もっとアクション出来ることを増やしてほしいとは思う。
例えばラクーンシティやARKなどではBSAAゾンビ、特殊部隊隊員が銃を撃ってくる。
それ自体は個人的には許容範囲なのだが、問題はちゃんとしたカバーアクションや伏せ、回避、肩越し視点の切り替えなどが出来ないことだ。
バイオ6で出来たことが後年の作品で、しかもレオンというアグレッシブな歴代キャラで出来ないのは違和感がある。
もっとも出来るだけではダメで、快適な操作性は追求してほしいところ。
また、敵のアクションについても思うところがあり、
ゾンビが銃を撃ってくるのはいいけど、無茶な使い方をしているからエイム力がなかったり、腕が下手したら取れてしまったり、
ゾンビで同士討ちのような形になったり、ゾンビが銃を撃っているということに納得が出来るアクションや演出をしてほしい。
100歩譲って迫撃砲撃ってくるのはいいけど、狙いが正確すぎるのはどうかと思うから、
特定のエリアだけめちゃめちゃ爆撃されているという使い方でもいいのではないか、と思う。
あれはちょっと生前の記憶という言葉だけで片付けられない知性を感じてしまう。
クリア後のミニゲームなどがない
クリア後のやり込み要素としてミニゲームなどがないのは良くなかった。
これだけ歴代キャラクターが登場しているわけだから、様々なミニゲームが検討出来たはずだ。
マーセナリーズやバトルゲームのようなものでもいいし、レイドモードでも良い。
過去作で人気だったおまけゲームを何も考えず採用するだけでも違ったはずだ。
一応、現状はレオンマストダイがあるが、そういうんじゃなくてさ…。
今後の追加に期待か。
隠し武器が物足りない
正直隠し武器のラインナップはまったくワクワクしなかった。
お馴染みのロケランに関しても爆風ダメージを自キャラが受けてしまうなど、要らない要素が追加されてしまっている。
レオン編で言えば、武器のレクイエムと似たような種類のゴーストグラッジ、リデンプション。
似たような武器を増やすのではなく、もう少し遊びのある隠し武器が欲しかった。
RE4であったボウガンやRE2の火炎放射器、バイオ6からウイングシューターで2丁拳銃なんかも調整次第で面白い武器になりそうだし、
過去作からの懐かしい武器という面もある。
あと、手榴弾系も無限化したいのだが頑なにバイオシリーズでは無限化されない。
グレース編においてもフレイヤ、コテツ、どちらをとっても元々使用できる武器種と役割はそう変わらない。
そうじゃなくて、例えばビン関係の隠し武器や無限化、破血アンプル系の隠し武器などがあった方が面白かった。
あと、シンプルにグレースは扱える武器種が少ないので、単純にレオンが使っている武器種をグレースで使えるようにするだけでもいい。
ロケランだってグレースでも使えてもいい。
もっと個性的な武器だってほしい。
ラクーンシティ再訪はややがっかり
良いところでも取り上げたポイントだが、同時に残念に感じたポイントでもある。
ラクーンシティと言えばシリーズファンとしては様々な思い出がある場所であるのは間違いない。
初代バイオ、バイオリメイク、バイオ0、バイオ2、RE2、バイオ3、RE3、アウトブレイク1&2、オペレーションラクーンシティ。
数々のタイトルでそれぞれ掘り下げられ、魅力が描かれてきた。
それ故に、もっと多くの懐かしいロケーションに再び出会えると期待していたが、
懐かしいと言える場所は警察署、ケンド銃砲店くらいなもので、あとのロケーションは灰色の知らない街のどこか、という印象だった。
病院、大学、動物園、時計塔、洋館、研究所、幹部養成所、森林、公園、アップルインホテルなど大きめなロケーションもこんなにある。
他にも新聞社、スタジアム、市庁舎、変電所、BAR JACK、J's BARなど実に様々な施設がある。
まあアンブレラ絡みの施設は、過去作で滅菌作戦とは別に毎回自爆装置発動してるし残ってないにしても、
滅菌作戦がカモフラージュで、建物があんなに残っているのなら尚更思い出深いロケーションを巡りたかったと思ってしまう。
歴代キャラクターの扱い
歴代キャラクターがたくさん登場するのは個人的に大歓迎で嬉しい。
しかし、その扱いまで含めると手放しに良かったとは言い難いものになっている。
以下に気になったところを挙げる。
・アリッサの死亡
やはりもう生きたアリッサはいないのだ、と思うとアウトブレイクを遊んだプレイヤーとしては寂しい。
スペンサーに対して物腰が柔らかかったのが意外だった。
もっともあの場で勢い任せに糾弾する意味はないのだろうが。
・スペンサーの設定
「幸せというものは誰かの犠牲の上に成り立たない」などど言うシリーズファンからすると驚きの発言をぶっこんでくる。
こういう人間でした、と言われればそれまでなのだが、理解は出来ても納得はし難い。
というのも、本作で見た取材映像の少し先の未来であるバイオ5の前日譚で彼はまったく反省や後悔といった様子を見せていないからだ。
晩年、正気を失っていたということなのだろうが、大分思い切った設定をねじ込んだものだと感じた。
これまで行ってきたとんでもなく非人道的な数々の悪行を考えると、最後まで救いのないヒールでも良かったと思うが、
人って考えが変わるし、悔い改めることが出来るのも事実だから、面白い変化とも感じる。
意欲的な設定には否定的ではないが、過去作との整合性などは出来るだけ考えてほしいと思う。
・???の設定とその後
まあ恐らくハンクでしょう。
所作や声、ラクーン症候群らしき痣、レオンについての知見、レオン側も知っているような言い回しなどからもそう思う。
彼がレオンが体勢を整えるまで「待つ」という舐めプともとれる行動をしたこと。
任務遂行が第一というこれまでの振る舞いを知っているとかなり違和感のある行動だ。
レオンと最期に戦えるシチュエーションを無粋に終わらせたくなかった、ということなのだろうか。
とはいえ、過去作を振り返ると意外と部下思いな面なども持ち合わせていたり、
アルフレッドへの報告書などでは冷徹な印象一辺倒ではない人柄が描写されていたりするので、
案外違和感を感じるところではないのかもしれない。
問題はそのハンクがレオンと交戦し死んでしまったと思われることだ。
その後確認に行くと他の隊員の死体は残っているにも関わらず、
彼の死体だけが消えていたりすることからも、生存の可能性もなくはない。
ハンクといえば人気なキャラクターでもあるため、まだまだ死なせないでほしいと思う。
また、相手がいくらレオンでも勝敗の白黒は付けないでほしかったという気持ちもある。
追加コンテンツで、あの戦いのあとのハンクを動かせるシナリオでもあれば良いのだが。
登場しなかった歴代キャラ
本作の重要なテーマのひとつである「ラクーン症候群」。
これの設定を考えるに当然他の歴代登場キャラの安否が気にかかる。
クリス、ジル、バリー、レベッカ、クレア、エイダ、カルロス、ビリー、ニコライ(RE3だと死んだのか?)などの主要キャラに加え、
ケビン、マーク、ジム、デビット、ジョージ、ヨーコ、シンディのアウトブレイクのキャラクターなど様々な生き残りがいる。
こういったキャラにエルピスの供給が間に合ったのかどうなのか、すべてを描くのはストーリーとして野暮ったいし描き切れないのも分かるが、
後々でいいから判明したら嬉しい。
もちろん吉報であれば、だが。
特にレオンともシェリーとも関わりの深いクレア、そして同作品出自であるエイダ、エンディングで登場したクリス。
この辺りのキャラクターは追加コンテンツのストーリーで登場する可能性もあるのかもしれない。
T-ウイルスの新たな設定
個人的には新しい設定などには肯定的だ。
しかし、それによって過去の設定が変わってしまったり、無かったことになるような設定には否定的だ。
以前の設定によれば感染者や感染した動物はエネルギーを摂取出来なければ餓死したはずだが、
本作では28年も前のゾンビが生きていて、未だにうろついて襲ってくる。
挙句の果てに重たい瓦礫を投げてきたり、近接武器で殴り掛かってくるなど当時よりパワーアップしてね?と思えるほどの状態。
変異型T-ウイルスが生前の記憶に基づいた行動を取るのはいいとして、
なぜ変異型じゃないはずのラクーン事件産のゾンビが近接武器を扱ったり、チェーンソーを扱ったり、爆発物を投げてくるのだろうか。
あるいは自販機に執着するゾンビや、ゾンビ化したブラッドがマービンに「すまない」と喋ったりするなど、
T-ウイルスそのものの特性がそういった生前の記憶を保持するような設定に変わったのだろうか。
それに伴い、餓死もしないように設定も変わったのだろうか。
疑問は尽きないが、詳細な設定が何れ分かることを楽しみにしたい。
あとがき
書いていて思ったのは、このゲームの土台は基本的に素晴らしいということ。
ただ、部分的に味付けに失敗しているだけ、という印象か。
そういう点ではアップデートで周回の楽しみが増える変更をしてくれる可能性もあるし、
既に発表されている通り、追加コンテンツは予定されている。
今後、更なるボリュームアップがなされることを期待している。
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